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「友人が教えてくれた『人を失敗から救う言葉と所作』」言葉こころ所作研究所コラム<第6回>

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コミュニケーションにおいて「人を傷つけない話し方」を意識するとき、一番気を付けなくてはならないのは、相手の人格を否定しないということではないでしょうか。

失敗・ミステイクをした人に対して、「君は、そういうミスをするタイプだよね」「あなたは、いつもそうなんだから」「君らしいね。その失敗」などと言っている人は、いませんか?きっとこのような言葉を口に出してしまう人は、相手がどれほど傷ついているか、気付いていないのだと思います。

「失敗の原因と問題点」と「人格」を結びつけて注意してしまうこと、それだけは、どうぞ避けてください。

一方で、人を褒めるときには、仕事の成功とその人の人格を結びつけても問題はありません。たとえば、「あなたが、周りに信頼される人柄だったから、全員一丸となってこのプロジェクトが成功したのですね。すばらしいね。ありがとう!」などと褒められれば、それは相手にとって次の仕事への活力となるでしょう。

私は普段から、そのようなことを研修で伝えているのですが、先日、自分の身の上で久しぶりに良い例を見つけました。それは、とある資格試験の一次試験に落ちた私を慰めてくれた友人のメールでした。

20歳くらい年の離れた(彼女の方が年下です)その友人のメールの内容は、「私が抱える問題を解決するためにはどうすれば良いか」ということだけを伝えるものでした。

そのメールの始まりは、次のような文章でした。

「何かお手伝いできることがあれば、協力させてください。協力と言いつつ……。押しつけがましいのは承知の上で添付ファイル送付いたします。不要の場合は、破棄してください」

さらにメールには、彼女が合格した際に実践した勉強方法が事細かに説明されており、対策問題集の膨大なデータと、その使い方がとても分かりやすく書かれていました。

その時の彼女の応援メールは、凹んだ私の心を充分に癒してくれました。忙しいのにこんなに私のために時間をかけてくれてありがとう。そんな気持ちになりました。

仕事の失敗の場合もそうです。人格を否定するのではなく、失敗の原因だけに焦点を合わせ、改善していくことを最優先と考えましょう。

どこの組織にも、失敗した人を落ち込みから救える上司、同僚、部下がいてほしいと願っています。そして、そこには「言葉、こころ、所作」が連動して、人を傷つけない良いサイクルがあると信じています。

私もメールをくれた彼女の応援を大切にし、そして教えてもらった勉強方法を取り入れて、次こそは合格するように頑張ろうと今思っています。(綾ちゃん、ありがとう!)

(文:ましのせつこ)

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