皆様ご機嫌いかがですか。
上質な言葉磨きプロデューサーのましのせつこでございます。
「言葉と所作磨き教室」第五回は、先日お話しした「丁重語」について、もう少し違う言葉をお伝えします。
⚫︎「申す」と「申し上げる」
⚫︎「存じる」と「存じ上げる」
この言葉の謙譲語のⅠとⅡの違いについてお伝えしてまいります。
※謙譲語ⅠとⅡの違いは、以下の表も参考にご覧ください。
⇒敬語の5分類はこちら
「申す」と「申し上げる」の違い
「申す」というのは、謙譲語Ⅱ、丁重語です。
「申し上げる」は謙譲語Ⅰ、相手を立てています。
「社長に申し上げたいことがあります」は「社長に言いたいことがあります」を、社長を立てて自分をへりくだって話しています。
この言葉には「申し上げる」という「上げる」がついています。
そして、丁重語で「申す」という言葉があります。
これは「私、ましのと申します」の言うように使います。
「私、ましのと言います」と言うよりも、「申します」を使うことによって、丁重に相手に伝えています。
「申す」を使ったよくある間違い
よく、オフィスでの電話の伝言で、間違って言葉を使っている人がいます。
お客様が「これ、課長にお伝えしておいてくださいますか」と言うと、
「はい、では課長に必ずお伝えします」と応えている人がいます。
これは不正解です。
「お伝えします」は、課長を立てていることになります。
(お・ご〜する 謙譲語Ⅰ)
「課長、今お伝えしてもいいですか?」と、課長に直接言う時は、課長を立てているので正しい使い方です。
ですが、お客様に対して「課長にお伝えします」はおかしいです。
うちの者を立てていることになるからです。
その時に「申す」を使ってください。
「では、課長に必ず申し伝えます」
これは、お客様に対して丁重に「言っておきますね」「伝えておきますね」と話していることになります。
お客様に対して、うちの者に伝えることを使う時に、「申し伝えます」(謙譲語Ⅱ・丁重語)を使いましょう!
品良く相手に伝えていることになります。
「存じる」と「存じ上げる」の違い
もう一つ、「存じる」と言う言葉があります。
「存じ上げる」と似ていますが、「上げる」が付くことで謙譲語Ⅰですので、相手を立てます。「知っている」ということです。
「私、社長のことはかねがね存じ上げております」と言うとき。
「おる」という謙譲語のⅡ(丁重語)と「存じ上げる」という謙譲語のⅠを動詞連結の「て」という言葉で繋いでいます。
ですが「あのニュースご存知?」と聞かれた時、「ああ、存じ上げております」はおかしい使い方です。ニュースを奉っていることになります。
その時は、丁重語で「そのニュースの事は存じております」と使いましょう。
ニュースのことを奉らずに「知っている」ということを、話している相手に丁重に伝えていることになります。
「上げる」が付くと付かないかで、謙譲語ⅠになるかⅡになるか、変わってきます。
「存じる」のもう一つの使い方
そして、「存じる」は「知る」の他に「思う」という時にも使います。
「ありがたく存じます」などです。
「ありがたく思います」の「思う」をもっと丁重に話す時「ありがたく存じます」「ありがとう存じます」と使います。
これも丁重語で話している相手に品良く喋っているということです。
まとめ
今回は「申す」と「存じる」についてお伝えいたしました。
色々な使い方をお伝えしましたが、一度に覚えるのはなかなか難しいかと思います。
日常生活で意識して使いながら、ゆっくり習得して行ってくださいませ。
謙譲語ⅠとⅡ、似ている言葉が多いですが、しっかりと使い分けてまいりましょう。
ぜひ、丁重に話す言葉遣いを皆様に身につけていただければと存じます。
では、またお目にかかりましょう!
ごきげんよう💖
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